活動実績

LINEみらい財団、「金融・情報リテラシー」教育に向けた教材を提供開始

2020.09.07

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第一弾として「信用」「キャッシュレス」についての教材をリリース

LINE株式会社(所在地:東京都新宿区、代表取締役社長:出澤剛)は、CSR活動の一環として取り組んできた一連の教育活動における知見やノウハウをより広域的・永続的な活動とするため、一般財団法人 LINEみらい財団 (所在地:東京都新宿区、代表理事:奥出直人、江口清貴 以下 LINEみらい財団)を 2019年12月に設立し、LINEが取り組んできた情報モラル教育やプログラミング教育のさらなる充実に向けた活動等に取り組んでいます。

このたび、LINEみらい財団は、「金融・情報リテラシー」教育に向けた教材を本日より提供開始しますので、お知らせいたします。

「金融・情報リテラシー教育」に関する教材を提供開始

LINEみらい財団では、ユーザーの皆さまにインターネット上のコミュニケーションをより安心・安全に楽しんでいただくために、主に青少年を対象に、健全なインターネット利用を啓発するための講演活動や、情報モラル教育教材の開発、ネット利用実態に関する調査研究、プログラミング学習プラットフォームの運営などを行っております。

デジタル化が著しく進み、インターネット、スマートフォンが生活インフラとして定着する社会では、金融領域においてもより一層のリテラシー向上が求められます。LINEみらい財団では、これまでの取り組みで得た知見や経験を基に、これからの社会を生きる子どもたちに向け、以前より金融領域での教材の提供を検討しておりましたが、この度、「金融・情報リテラシー」教育として、第一弾の教材である『基本編「信用」ってなんだろう?』『応用編「見えないお金」との付き合い方を考えよう』の提供を開始いたしました。

これまで学校教育においては、貨幣経済における「使う」「貯める」「借りる」を基本とした日常生活やライフプランを前提として、必要な知識や捉え方を学ぶ「金融教育」が実施されてきましたが、この領域は、金融それのみならず「情報」に関する知識の習得が不可欠です。

LINEグループとしては、モバイル送金・決済サービス「LINE Pay」をはじめとし、スマホ投資サービス「LINE証券」、モバイル投資サービス「LINEスマート投資」、保険サービス「LINEほけん」、家計簿・資産管理サービス「LINE家計簿」、個人向けローンサービス「LINEポケットマネー」、暗号資産取引サービス「BITMAX」といったFintechサービスを提供し、生活の中で欠かすことのできない「お金」と「ユーザー」の距離を近づけ、これらの金融サービスを展開しています。そのような中、昨今のデジタル化の急速な発展においては、金融における「見えないお金」であるキャッシュレスを前提に、従来の教育内容に加え、新たなお金との付き合い方を学ぶことが必要だと考えています。

また、教材開発の検討時にLINEが小中学生に向けて実施した、「小中学生の金融・決済方法に関する意識調査」においては、以下のことがわかっています。

・約3割の子どもたちが、電子決済を利用
・約8割の子どもたちが、PC・スマートフォンによる決済の利用意思を持っている
・子どもたちは、電子決済を近い将来普及するものと捉えている
・特に、身近なデバイスであるスマートフォンでの決済が進展することをイメージしている
※調査結果の詳細は、プレスリリース下部に記載しております。

キャッシュレス領域においては、知識として理解するのみならず、上手に使いこなしていくためのリテラシーや情報を活用するスキルも必要です。LINEみらい財団では、これまでの取り組みで得た知見や経験およびこのような背景を踏まえ、今後、デジタル社会を生きる子どもたちが、見えないお金とうまく付き合い、よりよい社会生活を営むための基礎知識を獲得するために「金融・情報リテラシー教育」の提供に至りました。

■第一弾の教材概要

今回、教材の第一弾として「キャッシュレス」を学ぶために「信用」というテーマを取り上げております。それは、支払いの手段である貨幣は「国が保証し、国民がそれを信用している」からこそ「貨幣としての価値」が成り立っており、「信用」は貨幣が役割を果たすための土台だからです。また、キャッシュレスはオンライン上での取引を前提としているため、従来の紙幣や貨幣自体が流通する上での基盤である「信用」を元に利用することができず、事業者がキャッシュレスを成立させるには、根幹となる流通システムにおいて「信用」や「信頼」を担保するため事業認可、法準拠などの対応が必要です。一方、利用者においては、クレジットカードなどにおける個人の支払い履歴など「信用情報」が必要です。このように、キャッシュレスを学ぶためには、前提となる「信用」や「信頼」の仕組みを学ぶ必要があると考え、これを基本編の教材テーマとしています。加えて、応用編としてキャッシュレスの仕組みについて学ぶための実践的な教材も作成しております。

第一弾の教材概要

基本編:「信用」ってなんだろう?

子どもたちが金融に向き合う姿勢について自ら考えるため、「信用」と「信頼」の違いやそれらを得ることの難しさ、これからの社会を生きるために信用を積み重ねる重要さについて学ぶことができる内容です。「見えないお金」と上手に付き合うために「信用」の重要性に気づいてもらうため、カードワークやユースケースを通して学べる教材です。

応用編「見えないお金」との付き合い方を考えよう

見えないお金である「キャッシュレス」との付き合い方を学び、キャッシュレスについての基礎知識の理解、向き合い方を主体的に考えてもらうための内容です。売り手(送り手)と買い手双方から理解するためのコンテンツやワークシートを元にした学習など実践的な内容で構成されています。

基本編、応用編ともに、事前に実施したテスト授業におけるアンケート調査結果においては、授業の「理解度」「有益度」に関して概ね肯定的な評価が多く、特に、応用編においては、「理解度」「有益度」が大幅に高まる結果でした。キャッシュレス決済の理解では、9割以上の生徒がメリット・デメリットの理解が進んだと回答し、キャッシュレス決済の今後の発展には9割超が肯定的な意見でした。

本教材は、他の教材と同様に、指導者用ガイドブック、スライドデータ等も全て無料でダウンロードしていただけます。教職員の皆さまが教材をダウンロードし、授業にお役立ていただける内容となっています。

■金融・情報リテラシー(複利的思考を身につけよう)教材ダウンロード

https://forms-business.yahoo-net.jp/linecsr/s/materials/

■提供体制

今回の教材はLINEみらい財団による企画、金融リテラシー教育研究会※「デジタル教材部会」における教材化の検討協議と監修、静岡大学教育学部・塩田真吾研究室による教材化、三井住友DSアセットマネジメント株式会社によるノウハウ協力を得て、提供に至りました。
※ 金融リテラシー教育研究会:デジタル化が進展する社会にむけて、児童生徒が「金融および情報の活用能力」を獲得するための教育のありかたを産学連携で研究する研究会(事務局長:東京大学経済学研究科 特任研究員 木戸冬子)

金融リテラシー教育研究会 「デジタル教材部会」

目白大学・筑波大学附属中学校 非常勤講師 新井 明(専門部会長)
筑波大学附属中学校 副校長 升野 伸子
東京都立神代高等学校 主任教諭 稲垣 俊介
東京都立農業高等学校 主任教諭 塙 枝里子
FULMA株式会社 COO 中條 武
三井住友DSアセットマネジメント株式会社

新井 明(目白大学・筑波大学附属中学校 非常勤講師)

使える教材の要素は三つです。一つは、「おもしろいこと」。面白さは、課題に積極的に取組むモチベーションになります。二つ目は、「本質に触れていること」。テーマの本質を捉えているものでないと生徒は納得しません。三つ目は、「時代に合っていること」。激しく動く現代に応えるセンスが必要です。私たちのこの取組みは、新しい時代を担う生徒たちに向けた金融・情報教育に際して、学校現場で本当に使える教材を目指しました。

塩田 真吾(静岡大学教育学部 准教授)

これまでの金融教育は主に社会科や家庭科で扱われてきました。しかし、フィンテック(FinTech)に代表されるように、金融(Finance)と情報技術(Technology)が掛け合わされたサービスが増えるこれからの時代では、「情報分野」での扱いも必須となってきます。例えば,急激に広まった電子決済などの「見えないお金」とどのようにつきあえばよいのか、社会科や家庭科だけでなく、情報科や技術科でも金融・情報リテラシーの育成に取り組んでほしいと思います。

増永 正人(三井住友DSアセットマネジメント株式会社 クライアントサービス部長)

三井住友DSアセットマネジメントは、資産運用ビジネスを通じて持続可能な社会の実現に取り組んでいます。その取り組みの一つとして、少子高齢社会が進展する我が国では資産形成の取り組みが不可欠との認識のもと、幅広い世代を対象に金融リテラシー向上のための教育啓発活動を行っています。当教材作成にあたっては、デジタル化が進む時代に生きていく子どもたちの金融リテラシー向上を目指し、ノウハウを提供しております。

江口 清貴(一般財団法人LINEみらい財団 代表理事/LINE株式会社 執行役員)

LINEみらい財団では、子どもたちに、これからのデジタル社会で必須になるであろう各種デジタルリテラシーを総合的に身に付けてもらうことを目指しています。すでに提供している“情報モラル教育”、 “プログラミング教育”、“サイバーセキュリティ教育”に加え、“金融・情報リテラシー教育”を本格始動することは、その新しい一歩であるとともに、金融サービスを提供している企業(LINEグループ)の責任とも考えています。子どもたちの学びが、安心・安全で便利なデジタル社会に繋がることを期待しています。

現在、インターネットを介して子どもたちに向けたオンライン学習等が実施される状況であり、日常生活においてキャッシュレスの流通はより一層加速しています。このような状況において、子ども達がそれらを使いこなしていくためにも、LINEみらい財団は、学校教育においても早期に「金融・情報リテラシー」を学ぶべき状況だと考えています。

引き続き、LINEみらい財団では、子どもたちへの教育を通して、未来のデジタル社会をより安心・安全で便利なものにすることを目指してまいります。

■参考情報:調査結果の詳細

1. 店舗での決済方法に関する質問においては、現金をチャージして決済している小学生は25.3%、中学生は34.4%、商品券やプリペイドカードでの決済は、小学生が23.7%、中学生は26.8%となっており、子どもたちの日常において、電子化された決済方法が3割程度利用されている結果となっています。(本設問は有効回答・小学生198件、中学生209件:自分で払わないなど未選択者を除く)

「お店で買い物をするとき、あなたはどのような方法でお金をはらいますか?」

2. PC・スマートフォンを介した決済経験のある小学生は44.8%と5割弱、中学生では56.7%と半数を超えており、未経験だが、今後利用してみたいと回答した小学生は、32.7%、中学生では30.9%でした。このことから、電子機器を利用した決済は、今後子どもたちに定着していくものと考えられます。

パソコンやスマホなどを使って、インターネットで買い物をしたことがありますか?ない場合はこれからしてみたいと思いますか?

3.今後の現金以外の決済において、進展する可能性のある決済方法についての質問では、小学生、中学生ともに現金のチャージが3割強、クレジットカードが4割強、スマートフォン決済が約5割という回答でした。このことを踏まえると、子どもたちは、電子決済を近い将来普及するものと捉えていることが伺い知れ、特に、身近なスマートフォンでの決済の進展をイメージしている結果となっています。

「これから先の日本のことを想像してみてください。買い物をするとき、「現金(お札や硬貨)」以外ではらう方法が「現金」よりも多くなると思いますか?」

【調査概要】

 

・テーマ:小中学生の金融・決済方法に関する意識調査
・実施時期:2019年2月
・実施方法:LINEリサーチモニターにて実施
・調査対象:国内の小学生(223名)・中学生(233名)